遊園地ガチャ爆死の恨みを晴らそうとしたモブアンデ

「なんでこんなことに」

 そう声に出してみても後の祭りで。

 羽風薫はひたすらに日頃の怠惰な自分を恨むばかりであった。冬の間は趣味のサーフィンも休みだし、レッスンもまともに受けてこなかった。体は自分で思うより別人のもののようで、思い通りに動かない。

 一時間前は煌々と派手な彩りを見せていたアトラクションには最低限の明かりしか点っておらず、客の気配もない。テーマパークそのものが呼吸をやめてしまったかのようだ。しかしながら息を荒らげた人間の気配が、少年の耳には届いていた。暗がりの中で息を整えているものの、いつどこから手が伸びてくるかわからないため長居はできない。慣れない全力疾走をして上がった息を整え、ティーカップを象った遊具の陰から這い出ようとしたところでまばゆい光に当てられ反射的に瞼を閉じた。

 事の始まりは数時間前。

思えばこの時から些細な違和感はあった。

「はあ!? ふざけんじゃねぇぞ」

 羽風含む4人組から成るUNDEADの単独ライブだと聞かされていたが、当日にその内容は子供達向けのものであると聞かされた。プロデューサーである転校生だけでは学内31人ものアイドルのスケジュールを管理することは厳しい。その上、学院では紅月の鬼龍紅郎や蓮巳敬人が出演するS2『歌劇』の準備も任されている彼女にこちらを構っている余裕はない。おそらく相手側と学院側の行き違いだろう。どちらに不備があったのかは今更拘泥するべきではないが、対応が後手後手に回っているのは否めない。喧嘩早い大神が腹を立てるのも仕方のないことだ。結果的にライブは成功したものの、一歩間違えばUNDEADの血の気の多い演奏に子供たちは泣き出していたのではないか。

 まあ、みんな喜んでくれたみたいだし。結果オーライって感じ?

 そうして僅かな不安を塵と吹き飛ばした。

 しかし、それで終わりではなかった。そこからが羽風薫、学院内でも異彩を放つUNDEADの二枚看板で女性関係の噂が絶えない彼の悪夢の始まりだった。

「痛っ、髪掴まないでよ。ってかなんでオジサン達そんなマジになってんの。冗談でしょ?」

 周りを黒い服を纏った5人の男に取り囲まれ、目にかかるほど長い金髪は荒っぽくぐいと引き上げられる。咄嗟に腕を叩くと中年の男は怯んで手を離したが、残りの4人が彼の身体を羽交い絞めにする。背中にぴたりと体をつける男の股間の膨らみに嫌でも気づいてしまう。

「ねえ、オレ男だしそういうの向いてないからさ、ちょっと、ねえってば! 嫌だ・・・・・・っぐ」

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